食事に関してイタリアでは様々なルールがありますが、中でも代表的なのが「パスタは種類ごとにソースが決まっている」ことです。
ご存知の通り、パスタは歴史あるイタリア料理の一つ。その起源は何百年も前に遡り、現在に至るまで主食としてイタリアの家庭を支えています。
一般的な「スパゲッティ」や、特定の地域に由来する「オレキエッテ」など、パスタは形状ごとに名前がつけられており、その数は認定されているものだけで300種類もあります。そして、美味しさを追求した結果、パスタはその形状によって使われるソースが決められているのです。
イタリアで特に人気のあるパスタは次の10種類です。
- スパゲッティ(spaghetti)
- ペンネ(penne)
- フジッリ(fusilli)
- ファルファッレ(farfalle)
- リガトーニ(rigatoni)
- タリアテッレ(tagliatelle)
- ラザニア(lasagne)
- オレキエッテ(orecchiette)
- リングイネ(linguine)
- カンネローニ(cannelloni)
生地の硬さは形ごとに異なり、適切な調理時間や味付けもそれぞれ異なります。
パスタは形状ごとに品質テストが行われ、見た目だけでなく、加熱調理への耐性や食感などが確認されます。
品質テストでは、適度な状態(アルデンテ)に茹でてから食べられない状態になるまでの時間を確認するために、一度パスタを茹ですぎの状態にします。アルデンテとは外側は柔らかく、内側はまだ硬い状態です。
パスタとソースの組み合わせはイタリア人にとっては常識的なものも多く、例えば、カルボナーラにはスパゲッティで、アラビアータにはペンネを合わせることはイタリア人なら誰でも知っています。
ではなぜ、パスタの形状ごとにソースが決められているのでしょうか。その秘密はパスタの形とその特徴にあります。
パスタの主な特徴
パスタにおいて最も重要な特徴をつくるのは「形」と「型(ダイス)」です。
パスタを成型する際には「ダイス」と呼ばれる型を使います。例えばスパゲティは小さな穴がたくさん空いたダイスに生地を押し込んで作られます。ダイスの素材はテフロンとブロンズの2種類があり、それぞれ食感が異なります。テフロンで作られたパスタは滑らかで黄色ぽく、ブロンズで作られたパスタは生地にザラつきがあり軽いのが特徴です。
パスタの形には長いものもあれば短いものもあります。
穴の開いたショートパスタはソースが絡みやすく、よく調理されたソースに合います。一方、穴の開いていないショートパスタは、シンプルなソースに合わせます。また、スープ用のとても短いパスタもあります。
ロングパスタは用途が広く、さまざまなソースと組み合わせることができます。ブカティーニのように穴が開いたものもあります。ロングパスタを調理する際には決して折ったりしないでください。どんな長さでも、そのままの長さで調理して食べるのが鉄則です。
その他に材料や食感もそれぞれのパスタの大きな特徴となっています。
パスタは材料によって乾燥パスタと生パスタに分けられます。
乾燥パスタは水と小麦粉で作られ、表面が滑らかなものや、生地に溝が入ったものがあります。濃厚なソースには、よりソースが絡みやすい溝の入ったパスタを使います。
生パスタは卵と小麦粉で作られ、表面がざらざらしていています。ソースが絡みやすいため、よく調理されたソースとの相性が抜群です。生地にほうれん草やジャガイモなど、野菜や香草を練り込むこともできます。
最後に、食感は大きくは滑らかなものと粗いものに分けられます。
ツルッと滑らかなパスタは、ソースが絡みにくいため、シンプルな野菜や魚介のソース地組み合わせます。逆に食感が粗いパスタはソースが絡みやすく、濃厚なソースとの相性が良くなります。
これらは美味しく食べるためのパスタに関する「秘密」の一部です。イタリア人にはこのような「秘密」がDNAの一部のように組み込まれ、当たり前のように生活の中で使われています。
パスタは非常に用途の広い食品ですが、特徴にあったソースを知っていれば、シンプルな材料でもとても美味しい料理を作ることができます。